新しい歯ブラシ
『Michiyo8』・『Michiyo4』
歯科衛生士の考案した歯ブラシ
歯にフィット・手にしっくりの設計!
まずは、一度お試しください
平成5年6月分20日(日)於:徳島大学
発表者:恵比須美知代・矢口みゆき・森野多加代
ME法は、臨床の場において活用でき、だれが指導しても同様の効果が得られるものをめざして考案したものです。
今回、臨床における患者指導の機会を得ることができましたので、その効果について報告いたします。
被験者は左図の通りです。 実施方法は右図の通りです。
三名の歯科衛生士の指導内容が大きく異ならないように、患者用指導チャートを4種類作成しました。
左写真は、「歯の外側」を示しています。
「上の歯は、毛先がななめ下」、「下の歯は、毛先がななめ上に」向くようにし、動きは「小さなゴシゴシ」と指示しています。
右写真は、頬側の最後臼歯遠心です。
患者さんには「いちばん奥の歯」と表現し、歯ブラシの挿入方向を重視しています。
従来、指導者側が、わかっていながら、一番指導の抜けている部分ではないかと考えています。
左写真は、前歯の裏用です。
「歯ブラシはたてて上下にごしごし」と指示しています。
上顎は歯ブラシの先の脇腹を郊外に当てることがポイントです。
(補足:今は、下の前歯の内側は「開いた三角錐」と認識。毛先のサイドの角を使い上下にごしごし、と当てます。)
右写真は、奥歯の裏用です。
この部位は2方向の磨きわけが重要です。
遠心は、磨こうとする歯の側の反対側より、入れることが基本ですが、患者指導では「歯ブラシの頭で引っ掛ける」という方が、理解しやすいと考えました。
近心は、歯ブラシを立て気味に毛先を遠心に向けるとよいのですが、患者指導では単に歯ブラシを立てて用いる、と指示しています。
(補足:実際は歯ブラシの側面のの角を入れ込むように用います。)
このように、部位ごとに歯ブラシの当て方、挿入方向の指示が具体的なため、指導の前に患者のブラッシングの様子を観察記録するためのチャート(ブラッシング観察記録・歯磨き観察チャート)を作成し、指導するときの参考にしました。
(補足:3報で記録用チャートとして紹介しています。)
左写真は、22歳女性、第3回目来院時の、染め出した状態です。とてもきれいです。
オレリーPCRのチエックでは、矢印のところを「プラークあり」と判定しています。
歯間部のプラーク量は激減していますが、乳頭先端部にわずかに残っているため、また「プラークあり」の判定です。
また、ほかの例でも1ミリに満たないプラークでも「歯肉に接している歯牙」に付着しているため「プラークあり」としています。
(補足:非常に厳しい判定をしています。)
右図は、16名のオレリースコアの変化で、15名減少し、1名のみ変化がありませんでした。
次に、この1名のみ繁華のなかった症例を紹介します。
49歳女性です。
左写真は歯肉の変化です。
上は、第1回目の右上頬側の歯肉です。
5番にクレフト、3番に擦過傷が見られます。
下は6週間後の歯肉です。
クレフト、擦過傷が消え、歯肉への過剰な刺激が避けられたことがわかります。
スコアの変化がなかったものの、プラーク量そのものは減少しており、出血度は14%から5%に改善されました。
右写真は、
ブラッシング観察記録(歯磨き観察チャート)です。
ブラシの当てる角度は90°から、歯牙方向45°へと角度に変化が見られます。
(補足:歯ブラシの動かし方にも変化が見られた)
臼歯舌側の近心・遠心 2方向磨き分け観察が可能
左写真は、
臼歯舌側の「2方向磨き分け」の効果について示しています。。
23歳女性です。
上は2回目来院時の臼歯舌側部の染色状態です。
近心は染まらず遠心にくっきりプラークが染まっています。
2方向磨きわけについて再指導しました。
下は、再指導から4週間後の染色状態です。
近心・遠心ともにプラークが除去されています。
右写真は、ブラッシング観察記録(歯磨き観察チャート)です。
初回は、歯列に沿って前後方向。
2回目は、歯ブラシを立てて使用していますが、反対側からの挿入が見られません。
3回目は、「2方向磨き分け」がされています。
指導者が異なることによる効果の差はない
左右図は、考案者の私以外の、歯科衛生士2名の担当患者のオレリースコアの変化です。
緑から赤に示しますように、いづれの患者も減少しており、指導者が異なることによる効果の差は、特に無いように思われました。
左右図は、歯牙ごとのプラークが残った、人の割合を示しています。
緑は従来の方法、ピンクと赤がME法です。
どの歯牙も、緑からピンクへと減少しています。
右図のように、特に臼歯舌側部のにおいて減少率が高いようです。
ME法実施後の残存プラークの傾向を見ました。
左図に示しますように、頬側では上下とも左の大臼歯部が高いようです。
また、右図に示しますように、舌側では、右下の小臼歯部、また右上2番3番が高いようです。
16名全員が右手で歯ブラシを使用していることから、口の位置に対して、歯ブラシを持つ手や、腕の作業能力のようなものが、関与しているように思えます。
また、右図の上顎では中切歯の近心が高いようです。
口腔内で最も深い三角錐の底と、想定しています。
今回、短時間での学習でしたので、さらに段階的な継続指導が必要と考えられます。
歯頚部プラークの除去効果が高い
歯肉への過剰な刺激がない 段階的な継続指導が可能
左図はME法について示しています。
1.歯間部の形態は「三角錐」と認識でき、部位により形状変化が見られる。
2.ブラシは、毛先が歯牙・脇腹が歯肉にあたるように用いる。
3.歯列に対する、歯ブラシの挿入方向が具体的かつ重要である。
右図は、今回16名のリコール患者を指導した効果のまとめです。
1.誰が指導しても同様の効果が得られる。
2.歯垢除去効果および歯肉への適度な刺激がある。
3.段階的な継続指導が効果的である。(段階的な継続指導が可能である。)